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私がバレエウェアを作る理由 11 R先生が遺してくれたもの 1 

2018/10/02
 
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クラシックバレエとソーイングが大好きなアラフィーです。夏の暑さにも負けず、冬の寒さにも負けず、先生のお小言にもめげず、レッスンとウェア制作に励んでおります。座右の銘は「一生現役」。得意なパはピケターン。キトリのカスタネットのソロを踊るのが目標。

おいでいただきありがとうございます。バレエウェアコーディネーター、結月ななです。

前回の私がバレエウェアを作る理由 10 では、亡くなる少し前にR先生ともう一度、電話でお話ししたことを書きました。

R先生との電話で、Y先生が「もう大人クラスを指導できない」と号泣したこと、それを聞いたR先生が私に「Y(先生)を助けてあげて」と言ったところまでをお話しました。

そして、R先生が亡くなって3か月あまり後、思いがけなくY先生とお話する機会が持てた…

今回はそこから始まります。

「それってどういうこと?」 初めて私をまっすぐに見たY先生

「私ね、R先生が亡くなる前に何度か電話をもらったんですよ」「R先生、Y先生のことすごく心配してました」

そう言った私をまっすぐに見て、Y先生は目を丸くしてこう言いました。

「それってどういうこと?」

Y先生は、私が亡くなる直前のR先生と直接お話していたと知って、とても驚いた表情をされました。

Y先生が驚くのも無理はありません。私はそのことを、ここでY先生に話すまで、誰にも話していませんでしたから。

Y先生自身も、私とR先生のつながりの深さがどこまでだったのか、全くご存じなかったからでしょう。

「Y先生に謝らなくちゃいけないって、おっしゃっていましたよ。」

最初に一言そういって、その後は一つ一つ順序だてて、私はR先生がおっしゃっていたことを、Y先生に話しました。

Yに謝らなくちゃいけない… R先生の懺悔

4年前、最初に体調が悪くなった時、もともと体が丈夫で元気だったから「大したことない。ここのところ忙しかったから、疲れがたまっているだけだ。少し休めばすぐに良くなる。」と思って、ほんのちょっとだけ、本当にほんのちょっとだけ休むつもりで、Y先生に代わりをお願いしたこと。

それなのに、想定外に病気が重く、バレエに復帰するどころか、普通の生活もできないような状態になってしまったことで、Y先生一人に大きな負担と迷惑をかけてしまったこと。

そのことを、最後までとても申し訳なく、心苦しく思われていたこと。

「R先生、ほんとにちょっとだけレッスン変わってもらうつもりで、Y先生に頼んだんですよ。すぐに復帰するつもりでいらしたから。」

「だけど、結果的に、一度も戻ってこられずに亡くなってしまわれたでしょう?」

「そのことをすごく悪いことをしてしまったと気にしていらしたんですよ。Y先生一人に大きな負担を背負わせ、迷惑をかけることになってしまって、本当に申し訳なかった…って。」

Y先生は、私とR先生の間で、こんな会話があったとは思いもよらなかったのでしょう。更に驚いたような表情で、大きな目を見張って私の話に聞き入っていました。

そして、突然思い出したようにこう言いました。

「そういえば、電話もらったとき『Yに謝らなくちゃいけない』って言ってた」

「『なんで謝るの?私、Rさんに何も謝られるようなことされてないよ。』って言ったんだけど」

「自分で具合が悪いのに、私のことそんなに心配してくれてたんだ…」

「有難いね。」

私の顔を見ながら、しんみりとY先生は言葉をつづけました。その表情からは、それまでずっと私が感じていた、棘のようなものが消えていました。

Y先生との間にできた新しい絆 それはR先生が遺してくれた一つめの贈り物

その会話があってから、本当に驚くような変化が起こりました。

R先生からレッスンを引き継いだ後の4年余り、私にずっと冷たくあたっていたY先生の態度が、見る見るうちに軟化していったのです。驚いたなんてものではありません。

レッスンに厳しいのは相変わらずですが、言葉の棘が取れて意地悪さがまったくなくなりました。あの暗黒の4年間は何だったのだろうと思うくらい、冗談を言い合って、笑いあえるような関係になったのです。

あの時、R先生が無理をしてでも、私と話したかった理由が解りました。R先生がY先生に伝えたかったこと、それを私に託したのです。

自分が亡くなった後、私の口からY先生に伝えて欲しかったのです。それができれば、私に対する誤解が解けて、私とY 先生の関係は間違いなくいい方向に変わると確信されていたのではないでしょうか。

本当に、その通りになりました。

Y先生は、私という人間を、自分の目で見て判断してくれるようになったのです。あちこちに流れている悪口や噂話ではなく、今、目の前にいる私の話を聞いてくださるようになりました。

うまく表現できませんが、私を信頼して、まっすぐ向かい合ってくれるようになったのです。

Y先生との関係は、最初に誤解されて拗れたまま、4年間ずっと苦しんできたので、穏やかな棘のない笑顔を初めて向けられたときは、涙が出るほど嬉しかったです。

これが、R先生が私に残してくれた贈り物だったのです。本当に、大きな大きな贈り物でした。

でも、贈り物はこれだけではなかったのです。

最終話私がバレエウェアを作る理由 12に続きます。

 

※「一番最初から読んでみたい」と思われた方はこちらからどうぞ。

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