「市販品のバレエウェアが着られない」そんなあなたの欲しいものはここにあります!

私がバレエウェアを作る理由 12 最終話 R先生の二つ目の贈り物とオーダーメイド製作再開

2018/10/03
 
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クラシックバレエとソーイングが大好きなアラフィーです。夏の暑さにも負けず、冬の寒さにも負けず、先生のお小言にもめげず、レッスンとウェア制作に励んでおります。座右の銘は「一生現役」。得意なパはピケターン。キトリのカスタネットのソロを踊るのが目標。

訪問くださり有難うございます。 バレエウェアコーディネーター、結月ななです。

ここまで、私の長い話にお付き合い頂きありがとうございました。このシリーズは、今回のこの話で最終話になります。

書き始めた当初、もっと短くまとめる予定だったのですが、なにぶん短期間の出来事ではありませんので、書いていくうちに色々と思い出すことが多く、追加追加を繰り返すうちに大長編になってしまいました(;^_^A。

しかし、「今の私を作ってくれたもの」「バレエウェアを作るポリシー」につながることですので、端折らずに丁寧に書いたので、ご了承くださいませ。(前回までのお話を最初から読みたい場合はこちらからどうぞ→私がバレエウェアを作る理由

さて。前回の私がバレエウェアを作る理由 11では、R先生がなくなる前にくれたもう一度の電話のこと、その電話の内容が、ずっと確執が続いていたY先生との関係を氷解させる「贈り物」となったところまで、お話しました。

辛い時期が長く続いていたことや、R先生が亡くなられたことで、さらに先が見えなくなっていた時期だったので、思いもよらない「R先生からの贈り物」で状況が変わって、本当に涙が出る程嬉しかったことを書きました。

しかし、「R先生からの贈り物」はそれだけではなかったのです。

今回はその後、二つ目の贈り物の話です。その年の舞台の少し前の時期のことです。

「あら、このスカート素敵ねえ。自分で作ったの?」

Y先生と私の関係が氷解したころ、季節は秋から冬に向かっていました。恒例の年末の舞台に向けて、レッスン回数も多くなり始めた時期のことでした。

本部でのレッスンの日のことです。私たちのクラスが終わって着替えていると、大先生が私のところに来て、さっき踊った振りのアドバイスをしてくださいました。

「手を挙げたとき、首をもう少し使ってみて。」「こう…ですか?」「そうそう。大げさなくらいでいいのよ。」

と、次の瞬間、大先生は私の身に着けていた巻きスカートに目を止めました。

「あら、このスカート素敵ねえ。自分で作ったの?」

(やば!!)反射的にそう思いました。4年前の一件があってから、私はずっと、レッスンで身につけるバレエウェアは、無地で暗い色で地味なもの、同じような色を着ている人が沢山いて、自分だけ目立たないようなものにしていたのです。

特に本部でのレッスンの時は、衣装作成の先生がいらっしゃって、助手としてレッスンを見てくださる際、どうしてもチェックが入るので余計に神経を使っていました。とにかく、明るい色や大きな柄など、着たいけれど目立つものは一切身に着けないようにしていたのですが…。

その日はたまたま、ちょっとだけ色の付いたスカートを付けていたのです。

Y先生との関係がよくなったこともあって、すこし気が抜けていたせいだと思います。ワインカラーに細かい花柄の入ったお気に入りの布地で作ったスカートでした。(これはまずい!!)と冷や汗が出てきましたが、自分の不注意、後の祭りです。

ところが…先生の口から出てきたのは意外な言葉でした。

「Rさんから聞いていたけど…」思いがけない大先生の言葉

「『ななさんは洋裁が出来るから、巻きスカートは自分で作るのよ』って、Rさんから聞いていたけれど、これは素敵だわ。私欲しいわ。」「ちょっとあわせてみていい?」

大先生はそういいながら、私からスカートを受け取ると、自分の身に着けて、着ごごちを試されたのです。そのうえ、すぐそばにいた衣装担当の先生を振り返って

「ねえ、G(衣装の先生の名前)、これ良くない?」

なんて、言い始めてしまったので、私は気が気ではありませんでした。(R先生、なんてことを話してくれてたの…)と、また、余計な誤解を招いてしまったらどうしようという思いで、冷や汗だらだらだったのです。

が、近づいてきてスカートを見た、衣装担当の先生から出た言葉も意外なものでした。

「ほんと。これはいいわね。よくできてる。」「ねえ、いいでしょう?」

想定外の一言に、面食らった私は次の言葉が出ませんでした。

「衣装制作が間に合わないときは助けてくれる?」 衣装の先生からのヘルプ

「これいいわねえ。同じ布地があるなら、私欲しいわ。」

大先生は、そのスカートがとても気に入られた様子で、身に着けた後、くるくると回りながらスカートの揺れ具合を見ています。残念ながらそのスカートは、デッドストックの布地で1点ものでした。残りの布地はあるけれど、もう一枚スカートを作る分量は残っていません。

恐る恐るそれを話すと、本当に残念そうに

「あら…それは残念だわ。じゃあ、こんど気に入った布地があった時は、私に作ってくれる?」

「はい…。」

耳を疑いました。衣装の先生の目の前でしたから、冷や汗の上に脂汗を流しながら返事をしました。

すると今度は、衣装担当の先生が意外なことを言いました。

「ななさん。舞台の衣装(の作成が)間に合わないとき、お手伝いお願いしていい?」

「前から、Rさんに言われていたのよ。ななさん、洋裁ができる人だから、忙しい時は頼んで大丈夫。ヘルプ出してって。」

「そうよ。忙しくなると、G1人では大変なの。助けてもらえたらとても助かるわ。」

大先生までそう言いだしたので、本当にびっくりしました。

「R先生がですか?」と聞き返した私に、返ってきた言葉はさらに驚くようなものでした。

大きな大きな「R先生からの2つ目の贈り物」

「Rさんねぇ、『ななさん洋裁が出来るから、忙しい時はお手伝いを頼んで大丈夫。』ってずっと言ってたのよ」

「亡くなるちょっと前、電話した時もそう言ってたわねぇ。」

(大先生、今、何て言ったの???)数秒前に、自分の耳で聞いた事なのに、信じられませんでした。

R先生は、大先生に私のことを、何度も直訴していてくれたのだそうです。電話だけでなく、最後に大先生がお見舞いに行ってお話をされた時にも話題にされたそうです。

これが、今後のことを大きく変えるきっかけとなりました。R先生は、私の知らないところで、大きな大きな「二つ目の贈り物」を残していてくれたのです。

あまりに想定外の出来事に、さっきからずっと、次の言葉が出ずに固まっている私に、衣装担当の先生がもう一度繰り返して言いました。

「だから、これから忙しいときは、お手伝いお願いするから宜しくね。」

「はい。私にできることなら、なんでもお手伝いしますので、遠慮なくおっしゃってください。」

心臓をバクバクさせながら、やっとのことで、その言葉を絞り出して返事をすると、衣装担当の先生は私の顔を見て、にっこり笑いました。初めて見る笑顔でした。

長い間、ずっと苦しみ続けてきたことのすべてから、解放されつつあるのが感じられました。

最後の最後まで、劣等生だった私のことを心配してくださり「ななさんとの絆は切りたくないから」と、自分の体調も顧みずに電話をくださったR先生に、私はもう一度心から感謝したのでした。

お手伝いから、オーダーメイドバレエウェア製作再開へ!

それから後、私は本当に、舞台の衣装作成が忙しい時、衣装担当の先生からお手伝いを頼まれるようになりました。

この年は、5着ほどの飾りつけと、サイズあわせ(背中のホックつけの調整)をお手伝いしました。

あの時からずっとさわれずに、ほこりをかぶっていたミシンも針箱も、久々に大活躍となりました。久しぶりのソーイング作業はとても楽しく、そして忙しい先生のお役に立つ事ができて本当に嬉しかったです。

同じ時期に、思いがけないことから、巻きスカートをはじめとするバレエウェアの作成も再開することが出来ました。

たまたま、大先生との会話をそばで聞いていた、一緒に舞台に出ている新しいお仲間さんから「こういうデザインで、この色合いのスカートが欲しいのだけれど」と、依頼されたのがきっかけになったのです。それから、スカ―トのほかにも小物なども注文いただけるようになり、今に至ります。

作成したウェアをお渡しして、レッスンで着て踊った後に

「これ、とっても着ごごちがよくて気に入ったわ。」

「欲しいなあと思っても、なかなか自分の体にあったものって見つからないから、作ってもらって本当に良かった」

「ずっと、こんなデザインと色のウェアが欲しかったけど、売ってなくて。作ってもらえてよかった!」と、作成者冥利に尽きる感想をいただけるようになりました。

私は再び「自分の好きな色や柄の布で作った、自分の身体にぴったり合ったサイズのウェアを身に着けることのよさ=オーダーメイドのバレエウェアの良さ」を「理解してもらうこと」が出来るようになったのです。

注文してくれた人が「自分が本当に欲しかったもの」を手にした時の笑顔、それを身に着けて楽しそうにレッスンを受ける姿を見られるようになり、一度はあきらめなければならなかった事だけに、本当に本当に嬉しい思いで一杯です。

そして、この嬉しさを味わったとき、自分の所属する教室という世界だけでなく、もっと多くの人に「オーダーメイドのバレエウェア」の良さを知っていただきたいという強い思いが生まれて、このサイトを作りました。

身に着けて踊ってみて、初めて分かるのが「オーダーメイド」の良さです。

特に、バレエが大好きでずっと続けているけれど、バレエ体形でなくて、市販のウェアではサイズが合わずに困っている方に、着ごごちがよく、踊りやすく綺麗に見える「オーダーメイドのバレエウェア」を、ぜひお試しいただきたいのです。

一度着ていただければ、その良さがわかります。

私のつたなくて長い文章を、最後までお読みくださり、本当にありがとうございました。

もし、これを読んで、私が作るオーダーメイドのバレエウェアに興味を持たれましたら、どんな小さな質問でも結構です。このフォームからご連絡くださいませ。

あなたと「オーダーメイドバレエウェア」を通じて、ご縁を結ぶことが出来ますように (o^―^o)ニコ       2018年6月 結月なな 拝

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クラシックバレエとソーイングが大好きなアラフィーです。夏の暑さにも負けず、冬の寒さにも負けず、先生のお小言にもめげず、レッスンとウェア制作に励んでおります。座右の銘は「一生現役」。得意なパはピケターン。キトリのカスタネットのソロを踊るのが目標。

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