「市販品のバレエウェアが着られない」そんなあなたの欲しいものはここにあります!

私がバレエウェアを作る理由 1 挑戦の始まり

2018/10/02
 
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クラシックバレエとソーイングが大好きなアラフィーです。夏の暑さにも負けず、冬の寒さにも負けず、先生のお小言にもめげず、レッスンとウェア制作に励んでおります。座右の銘は「一生現役」。得意なパはピケターン。キトリのカスタネットのソロを踊るのが目標。

私のサイトへようこそ! バレエウェアコーディネーター、結月ななです。

現在の私は、洋裁を始めて約30年、本格的にバレエウェアを作成するようになって13年目に入ります。

自分が着たいと思う自分にジャストサイズのバレエウェアを作って、大好きなバレエレッスンを続けるとともに、友人や知人の依頼を受けて、好みのデザインと布地でウエアを作成したり、市販品のお直しやカスタマイズを依頼されたりと、とても充実した日々を過ごしています。

41歳からバレエを始めた私が、どうしてバレエウェアを作るようになったのか、ここからその理由について書きたいと思います。

田舎には、バレエ用品店がない

私が自分でバレエのウェアを作り始めた理由は、バレエを始めた当初「自分に合うサイズのものがなかった」ということが一つ目です。

しかし、もう一つ大きな理由があります。

それは「一緒にレッスンを始めたお仲間さんみんなに素敵なウェアを提供して、笑顔でレッスン受けてもらいたいなぁ」と思ったことです。

残念ながら、昨年亡くなられてしまわれたのですが、5年前まで、主に教えていただいていたR先生は「大人バレエは形から入っていいのよ」という方でした。つまり、「自分の好きなウェアを着て、おしゃれしてレッスンを受けていい」という意味です(詳しいR先生の話は記事を改めて書きます)。

上手になってからレオタードや巻きスカートを着るのではなく、一番初めから好きなウェアを着て、バレエを習っていいとおっしゃっていたのです。

しかし、私が住んでいるのはほんとの「ど田舎」なので、バレエ関連のものは近所に販売している店舗がなく、一番近い専門店でも電車で2時間かかる場所にあります(これは現在も同じです)。そのため、バレエ用品で欲しいものがあってもすぐに手に入れることが出来ません。

レッスンに必要なバレエシューズ一つを買うにしても、自分で選んで買うことが出来ないので、先生にお願いして本部から送っていただいていました。注文してから手元に届くまで、早くても2週間程度かかるという状況でした(当時は今ほどインターネットが便利でなかったし、私自身も詳しくなかったので)。

こういう状況でしたから、せっかく「大人バレエは形から入っていいのよ」「好きなもの着ていいのよ」と言われても、皆だれも、なかなか好みのレオタードや巻きスカートといったウェアを購入することができませんでした。

しかたなく、レッスン開始からしばらくの間は、お仲間さん全員ジャージでレッスンを受けていました。

ななさん、洋裁出来るんだから、巻きスカート作ってよ

そんなある日のレッスン時のことでした。

ほんとに偶然なのですが、無料講習から有料のレッスンへ移行したお仲間さんの中に、子供の幼稚園時代のPTA役員さんがいて、何気なく私にこういったのです。

「ななさん、洋裁出来るんだから巻きスカート作ってよ」

子供の在園当時、毎年秋になると保護者の手作り品によるバザーがあり、一人当たり何点か商品を提出しなくてはなりませんでした。私はその都度、子供服やバックなどを作成して出していたのですが、毎回好評だったこともあって、彼女は私の趣味が洋裁であることを覚えていたのでしょう。

実際には、バレエの巻きスカートは、普通の洋服とは違ってちょっと特殊なものなので、本当に作れるとは思っていなかったようなのですが。

ところが、この冗談半分の一言から、私の無謀なチャレンジ精神が発動してしまったのです。バレエウェアはぼ未知の領域で、型紙も作り方のレシピもなく、「すべて1から調べて始めなくてはならない」状況にもかかわらず、「やってみよう!」という気持ちがむくむくと湧き上がってきたのです。

当時、フルタイムで残業のある仕事をしていたのですが、まだ若かったので(十数年前の話ですから(;^_^A)、次のレッスンまでの約一週間で、手元にあった材料を使って「型紙を作り、布を裁って縫い合わせ、スカートを完成させる」という、今考えても、フツーの人間技では考えられないようなことを、あっさりとやってのけてしまったのでした(しかも3枚も!!)。

ど素人が初めて作った、とんでもなくへたくそな巻きスカートをとても喜んでくれた友人!

その時完成した巻きスカートは、なんせ素人が初めて作ったものですから、今見直したら、恥ずかしくて人様に差し上げられる状態ではないような、レベルの低い出来だったと思います。

しかし当時の私は、自分で作れたことが嬉しくて、意気揚々と次のレッスン時に持って行きました。そして、件の彼女に「できたよ」と、取り出して見せると「え、本当に作ってくれたの?」と、ものすごく驚かれました。

「よかったら着てみて」というと、その場で即、身に着けてレッスンを受けたのです。

本当にたまたまなのですが、その時私が作ったものは、色も素材も彼女の好みにぴったりだったようでした。とても気に入ってくれて、私が想像していた以上に喜んでくれたのです。

その時の嬉しそうな顔は、今でもはっきりと覚えています。

そして、私も彼女に喜んでもらえたことが、素直にとても嬉しかったのです。

今まで、考えたこともなかったけど「自分にできることで、周りの人を笑顔にできるって嬉しいな。」そう思いました。この時私の中に「私にも人を笑顔にできることがあるんだ」という、小さな自信が生まれたのです。

これが、「私がバレエウェアを作る事にはまるきっかけ」になりました。

見る見るうちにレベルが跳ね上がった私の洋裁スキル

この時期、インターネットの細かい使い方を覚えた事も大きかったのです。

それで「近場で必要なものが手に入らないなら、ネットショップを探せばいい」ということが解りましたし、オークションを利用して、現在市販されていない布地を見つけて、人と被らないものを作る楽しさも知りました。

冒頭で「ど田舎」在住と書きましたが、「ど田舎住まいだから無理」という理由が全部、覆ったのです。

出来ない理由がなくなったことから、次から次へと出てくるアイデアが実行に移せるようになって、私のボルテージは上がるばかり。今、同じことをしろと言われても絶対に無理ですが(苦笑)仕事が終わった後、毎晩真夜中まで作業する日々が続きました。

人間が、本気で何かをやろうと決意したときに出るエネルギーってすごいものだなぁと思いますが、今考えても、特にこの時期の私は尋常でなかったと思います。

そのおかげで、この後数か月で、私の巻きスカートを作るスキルはあっという間に上昇しました。とにかく作ることが楽しかったので、次から次へと作りまくったからです。試作品を含めると(上手くいったものもそうでないものもあります)、おそらく50枚以上を作ったと思います。

新しいデザインを考えては、元の型紙を修正して新しく型紙を作り、布を裁断しては縫い合わせ、新しいものができるたびバレエのレッスン時に持っていきました。それをお仲間さんに着て踊ってもらって「踊る姿を見て、着ごごちを聞いて、改良する」を繰り返したのです。

痩せている人が着てきれいに見えるパターンはこれ、普通サイズの人にあったパターンはこれ、ちょっと太目の私のような人が着てきれいに見えるパターンはこれと、色々な知識が現場での貴重な経験とともに、私の中に蓄積されていきました。現在スキルとなっている土台の部分は、ほぼ全部、この時期に培われたものです。

そういったわけで、一時期大人クラスのレッスンは、私のラボ(実験施設)になっていました。当時の私の暴走を温かく見守ってくださったR先生と、嫌な顔一つせず、度重なる試着に協力してくれたお仲間さんには、今でも感謝しています。

「これ、素人のレベルじゃないわよ!」 先生からもらった太鼓判

そんなチャレンジ?を繰り返していた、何度目かのことでした(何十回かも(;^_^A)。

その時披露した巻きスカートの出来具合を見たR先生が、「これはいいわね。よくできてるわ」と、とてもほめてくださり「これ、素人のレベルじゃないわよ。」「これなら私も欲しいから、代金をとって作ってくれる?」と仰ったのです。

「まだ勉強中で下手だから…」と渋る私に、「作りながらもっと上手になっていけばいいのよ。それに、作ってもらう方も、お代をとってもらった方が頼みやすいから」と後押ししていただきこの時からR先生公認で有料で制作依頼を受けるようになりました。

こうして私は、R先生のおかげで、思いがけなく「バレエウェア作成のプロ」としての、第一歩を踏み出すことが出来たのです。

それから続く7年間、新しいお仲間さんが入会して来るたび、R先生と教室のお仲間さんに依頼されるたび、一人一人の希望に合わせた、様々な色と柄と形の巻きスカートを作り続けました。

自分で気に入った色や柄やデザインの巻きスカートを付けて、楽しそうに踊るお仲間さんを見るのは、とても嬉しく楽しい時間でした。

しかし…

バレエもウェア制作も、もっともっと頑張ろうと、思い始めた矢先にそれは起こりました。

それから先もずっと続くと思われた、その平和で楽しい時間は、ある日突然起こった「青天の霹靂」によって、ものの見事に崩れ去ることになるのです。

私がバレエウェアを作る理由 2 に続きます。

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クラシックバレエとソーイングが大好きなアラフィーです。夏の暑さにも負けず、冬の寒さにも負けず、先生のお小言にもめげず、レッスンとウェア制作に励んでおります。座右の銘は「一生現役」。得意なパはピケターン。キトリのカスタネットのソロを踊るのが目標。

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